いつか合気道の道場を設計したい
建築家のブログ

category

-2024.1.29-

耐震 制振 免震 の違い

能登半島地震以降、打合せにおいても地震の話題となる事が多く、地震から建物を守る方法にはどんなことがあるのか?改めて確認しておきたいと思います。地震に対する考え方は3つとなります。

一つ目は建築基準法で構造計算の方法が明文化されており、一般的で最も多く使われているのが耐震です。耐震壁の強さによって揺れに耐える構造で強さとバランスが肝となります。

FORMAの場合、新築では許容応力度計算を行ったうえで耐震等級3以上としています。(国交省が発表する熊本地震被害状況報告とその課題についてを参照してのFORMAでの基準としています)

次に制振(震)、骨組みとなる構造体に制振装置(ダンパーや特殊ゴム)で揺れを吸収し低減させるものです。地震の揺れを吸収して揺れが少なくなることで耐力壁の変形軽減、負担が減る事、建物内で起こる家財倒れの被害リスクが少なくなります。

3つ目が免震、こちらは地面と建物の間にすべり支承、減衰器、アイソレーターを設置することで地震の揺れが直接建物に伝わらなくなります。用途や社会機能上壊れる事が許容できない建物に採用されます。工事コストが高いことから戸建て住宅では一部でしか使われていません。

2016年の熊本地震では、接合部の強度と繰り返し起こった震度6以上の地震エネルギー入力に耐えられる強さが必要とされました。2024年元旦の能登半島地震は、建物の倒壊に至るまでの時間の短さ、内部の家財が倒れてのひどい状況、家財の下敷きになった方も多いと聞きました。

大地震に耐える強さを持ち、繰り返し起こる地震に対して壁の耐力低減を起こさず保持する性能、共振現象に対する抵抗性と揺れを軽減することの大切さを感じます。改めて制振(震)装置の設置を検討する必要があると思っています。

今後、地震に対する状況報告や検証が行われると思います。現在取り組んでいる耐震改修についてはこのような事もお施主さんに伝えながら、目標値を定めて制振装置の事も技術的な裏付けを取り進めていく予定です。

まずは、住んでいる家の耐震性を知ることから始めてください。知ることの大切さと方法は以前のブログに書いています。こちらからご参照ください。